既存ビジネスへの付加価値としての「決済代行」

2015/01/26
  • 決済代行コラム 業界ウォッチ

 去る1月19日に、不動産・住宅情報サイトHOME’Sを運営する株式会社ネクストが「不動産会社向けクレジットカード決済サービス」をプレスリリースしました。

【プレスリリースより引用】
総掲載物件数No.1の不動産・住宅情報サイト『HOME’S』を運営する株式会社ネクストは(中略)『HOME’S』加盟の賃貸不動産会社(以下、HOME’S加盟店)向けに、家賃クレジットカード決済サービスの提供を開始しました。ロイヤルゲート社のスマートデバイス型クレジットカード決済リーダー「PAYGATE」を活用(中略)HOME’S加盟店は、導入・月額費用ゼロ、業界最低水準の決済手数料2.4%でサービスの導入が可能です。

引用元:http://www.next-group.jp/wp-content/uploads/2015/01/20150119.pdf

 近年私が感じていた傾向に、まさに当てはまるニュースでしたので印象は強烈でした。
 しかも、強烈なのはそれだけではありません!

【プレスリリースより引用】
(全着)入居者が手持ちのクレジットカードで入居費用・月々の家賃を支払えるサービスです。

引用元:http://www.next-group.jp/wp-content/uploads/2015/01/20150119.pdf

 つまり、入居費用を決済したカードでそのまま家賃を定期的に決済すること(当社でいう継続課金)が出来るという訳です。決済用端末(リーダー)の費用負担なしで、ここまでのサービスを提供している決済代行会社は、私が知る限りありません。

かんたんに言うと、どういう事なの?

 私はこれを・・・

  • 「クレジット決済ができるというメリットを
     入居者に安く提供できるから、HOME’Sに加盟して!」

 というメッセージだと受け取りました。

 ネクスト社には、決済による利益がほぼ無いのではないかと思います。

 では、どこで利益を出すのか? 皆さん気になりますよね?
 私は非常に気になりましたので(笑)今回は、ネクスト社のIR資料から

  • HOME’Sはこのサービスによって、どれくらい儲かるのか?

 ということを、仮説を立てて推測してみます。

ネクスト社売上の大部分は、HOME’S掲載料金

 2014年3月期決算短信(http://www.next-group.jp/ir/ir-data/)では
 (1)不動産情報サービス事業 145億円
 (2)その他事業 1億3600万円 と発表しています。
 なお「(1)不動産情報サービス事業」は、HOME’S掲載料金を指すとみられ

  • 売上の99%がHOME’S掲載料金

 と言えそうです。

HOME’S加盟店1店舗あたりの売上は?

 同じくIR情報では2014年3月時点の加盟店数は11,639店舗とのことです。これで前述の売上で割ってみましょう。

  • 1加盟店舗あたり 125万円

 の年間売上が立つと仮定できます。

クレジット決済により1店舗増やすときのコストは?

 ネクスト社のリリース資料によると、ロイヤルゲート社の「PAYGATE MAGi(初期費用¥3,800)」と「モバイルプリンター(初期費用¥30,000、月額費用¥1800)」の画像であると推測できます。

 更にロイヤルゲート社のプレスリリース(https://www.royalgate.co.jp/press/index.html)によると、継続課金オプション(初期費用¥50,000円、月額費用¥5,000円)も必要である思われます。

仕入れ値は伺い知る余地がありませんでしたので、7掛けと仮定すると

  • 1店舗あたり¥77,000

 のコストがかかる(初年度。翌年以降は¥54,600のみ)と思われます。

広告宣伝費として妥当か?

 前期決算では売上高に対する広告宣伝費の割合が約28.88%でした。
 今回の「クレジット決済を付加価値とする施策」を広告宣伝費のように、得られる売上に対する割合を出してみましょう。
 

  • 設置コスト=7万7000円 ÷ 125万円 = 6.16%

 実際には手数料を逆ザヤで(仕入れよりも安く)提供している可能性や、トランザクションフィー(決済処理の度にかかる認証料)の負担もあり、さすがにここまでおいしくないとは思います。
 しかし、これまで加盟に至らなかった見込加盟店舗に再アプローチできるばかりか、家賃の継続決済には契約の継続も必須で解約率の抑制も期待できる事から、新規加盟店の増加率が5%程度上乗せされる程のインパクトは充分にありそうです。

HOME’S加盟店の増加ペースはどう変わる?

 同じくIR資料によると、ここ3年間で30%の加盟店舗数を増加しているとのことです。つまり順当に行けば「クレジット決済」の付加価値無しでも、年間10%程度は増加すると考えられます。

  • 2015年3月期の見込は12,803店舗 純増1,164
  • 2016年3月期の見込は14,083店舗 純増1,280

 例えば、この新規増加を5%上乗せできるとなると・・・

  • 2016年3月期の見込は14,723店舗 純増1,720 その差640店舗

 差分の全店舗に端末を提供したとして

      640店舗 ✕ ¥77,000 = 
4928万円
       かけて

      年間売上が 
約8億円増加

 という事になり

妥当どころか、すごく優秀!

 と、自信を持って断言できる数値です。
 いやはや、大量のデータ抽出でくたびれました。(苦笑)でも、もう少しだけお付き合いください。

Apple Payに性質が似ている

 決済サービス単体での収益を取るよりも、本業としているサービスのシェアを伸ばすための「付加価値」として決済代行を提供ケースとしては、昨年リリースされた「Apple Pay」に似ています。あの時は徹夜で発表を視聴していて、ひっくり返りましたが(笑)
 Apple社も直接の小売をしていますが、出荷の大部分はSIMカードつきで通信キャリアから販売されるので、HOME’Sと同じ「BtoB領域の付加価値としての決済代行」であると言えそうです。

 つまり、近年”B to B”かつ”Face to Face”の領域でリリースされてきたスマートフォン連動の格安決済ツールのうち多くは「別サービスの付加価値として割り切られたもの」だと私は解釈しています。

今後も確実に拡大する領域

 それだけ多くの業者が注目し仕掛けている領域ですから、その市場規模の大きさも「推して知るべし」でしょう。
 我々決済代行業者の事業領域も、従来の小売業の加盟店が対象の「B to B to C」から、法人向けサービスを展開しているHOME’Sのようなサービスへ「付加価値としての決済ツール」を提供するという「B to B to B to C」に緩やかに移行しつつあるのかも知れません。

 当社もキャッシュカードと暗証番号で口座振替登録ができる「口座振替かんたん登録」を軸に仕掛けて行きたいと思います。お楽しみに!

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